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東京都内のスーパー「東武ストア東雲店」では、商品の値下げが強調されていた=2024年10月19日、東京都江東区

 内閣府が15日発表した7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整値)は、個人消費が牽引(けんいん)役になってプラス成長を維持した。ただ、台風に備えた買いだめや記録的な猛暑といった一時的な要因で押し上げられた面もある。消費の回復が「本物」かどうか、企業は難しい対応を迫られている。

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 「消費は二極化している」。外食大手のすかいらーくホールディングスの金谷実社長は13日の決算会見で、そんな見方を示した。物価高への警戒感は強まっているが、節約一辺倒でもない。「ハレの日の商品と日常づかいの商品との使い分け」を念頭に、値ごろ感のあるメニューに加え、コースのフランス料理を連想させる高級感のあるものも用意すると明かした。

 食品大手の味の素は、主力の冷凍ギョーザで「高たんぱく質」や「減塩」が売りの高付加価値品を出しつつ、30個入りのお買い得品も8月に投入した。藤江太郎社長は「価格に敏感な消費者も増えている。松竹梅の価格戦略が必要だ」と話す。

 百貨店業界は富裕層向けの高級品が好調だ。高島屋も8月中間決算で最高益を更新。だが、村田善郎社長は「ジャケットやコートなどがコロナ前に比べて動いておらず、中間層の消費の力強さは感じない」と明かす。

 強弱の入り交じる消費を前に…

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